Dr.OHKADO's Blog

. されどムンテラ

 6月も半ばになりました.春に開業した内科系のクリニックにとっては,これから夏にかけては患者さんが少ない季節なのでなかなか大変と聞きましたが,少ないならば一人ひとりへの診療が時間をかけてしっかり出来るわけですから,できる限り丁寧な診療を行いたいと思います.
 先日ある患者さんが飛び込みでこられました.ある病気で近所の医師を受診したが,はっきりした説明もなしにただ薬ばかりがやたらと増えて行き不安だということでした.病気自体は私の専門領域でもありましたので,模型や図を利用して可能な限り詳しく,分かりやすく説明いたしました.
 するとその患者さんは,本当によく理解できてすっきりしました,これから当院に通院しますと言ってくださり,今後リピーターになってくれそうです.
 私は勤務医時代毎日のように患者さんやその家族に対する説明(インフォームドコンセント.我々はそれを俗にムンテラ=ムンドテラピー:ドイツ語,直訳すれば「口頭での治療」などと呼んでいましたが)を行っていましたが,その技術は手術や診断の能力と同様,医師によって相当な差があります.もちろん医師としての風格,経験,患者さん側とのそれまでの信頼関係の良否がかなり大きな要素になりますが,説明の内容や方法自体が悪ければ論外です.
 インターネットの普及でこれだけ情報過多の時代になっても,やはり専門外のことは理解しにくいものです. 
 一般の人々が相対性理論や量子力学の話を物理学の専門家からいくら聞いても,おそらく10%も理解できればいい方でしょう.
 医療も同様です.一般の方がいくら本やインターネットで勉強しても,6年間の医学教育とその後の実際の臨床現場での経験により裏打ちされた知識と技術を持つ医療のプロにかなうわけがありません.
 ただ,だからこそ,患者さんにそれをいかにわかりやすく伝えるか,という「説明術」とでも呼ぶべき技術をも身につける必要があると思われます.
 たとえば「心肥大を指摘された」ということばを説明するとき,医師は心臓の解剖学や生理学,検査方法などの知識がありますからいつのまにかそれをベースにして話をしています.しかし一般の人にはそもそも心臓の解剖,動脈と静脈の違い,など基本的なことからしてイメージが湧きません.
 ですからインフォームドコンセントとは,このギャップをいかにに埋めるかということに腐心することに他ならないと思っています. それによって患者さんたちには説明したことの,10割とはいいませんが,せめて3割でも分かっていただければ上出来だと思っています.そしてその3割によってでもいいので自分の病気のことを理解してくださるようにすればよいのだと思っています.








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Dr.Ohkado

Author:Dr.Ohkado
神戸市中央区新神戸駅ちかく,神戸芸術センタービル内医療モールにある循環器科を主とする開業医です。
徒然なるままに,日々考えていることをエッセイとして書き綴っていきます.
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