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あっぱれ国民皆保険制度

2009.09.07(23:24) 80

 8月もあっという間に終わり,朝夕すっかり過ごしやすくなりました.クリニックのポストには,気の早いことに“年賀はがきの申し込みはお早めに”などという郵便局からのDMが来ており,思わず苦笑せざるを得ませんでした.

 さて,先日米国ではオバマ大統領が,公約に掲げていた国民皆保険制度の導入の検討を始めたところ,多くの議員や国民,特に富裕層から,増税につながるとして猛反対の声が上がり,支持率も低下しているとのことです.米国では日本とちがい個人が民間保険に入らざるを得ず,貧富の差によって受けられる医療に相当な格差があるのはもちろんのこと,保険そのものに入れないためまともな医療さえ受けられない国民も多いことは周知の通りで,世界一の経済大国ではあっても平均寿命は決して高くないことの一因ともなっています.

 翻って我が国はどうでしょうか?私は国民皆保険制度を導入して久しい日本の医療ほど国民にとってありがたい,素晴らしい医療制度はないといつも感じています.一定の保険料さえ支払えば(しかも状況によっては免除されます),いつでもどこでも,貧富や出自に関係なく,誰もがあまねく平等に最高の医療を受けられます.MRIやCTのような高度な検査はもちろん,心臓や脳の手術のような高度な医療もたいていどこでも受けられ,しかも何よりも医療費が安い.心臓手術の場合,たとえば心筋梗塞で冠動脈バイパス手術を受けて3週間入院すると,全額自費で払えば3-4百万円はかかります.もちろんこれでも米国と比較すればはるかに安いのですが,なんと日本では健康保険制度に加えて高額医療制度があるため,どんな人でも結局最終的な自己負担はたったの10万円ほどで済むというわけです.

 私は神戸労災病院にいた3年前,海外在住邦人健康相談という事業のメンバーに選ばれ,アフリカ諸国(ケニア,タンザニア,エチオピア,エジプト)を3週間にわたって巡るという貴重な経験をしました.タンザニアではいくつかの病院を見学する機会を得ましたが,正直言ってハードもソフトもそのレベルは日本のそれとは雲泥の差でした.何しろまともな医療機器や技術がない上,優秀な人材がいても欧米に出て行ってしまう.だから心臓手術はおろか虫垂炎のような単純な手術さえ危ない.それでも富裕層は比較的まともな医療を受けられるものの,大部分の庶民は病気になっても貧困ゆえに病院にかかることさえ出来ないとのことでした.私はこの旅で発展途上国の医療レベルの低さに愕然としたと同時に,日本ほど恵まれている国はないのではないかと実感しました.

 確かに日本も医療崩壊の危機が騒がれて久しいことは事実です.しかし日本人の医療に対する不満のレベルはアフリカのそれとは次元が違うのです.もちろん,小児科・産婦人科医や外科系医師の不足とか,医療施設の偏在とか,高齢者福祉の問題など解決すべき大きな問題は山積しています.しかし待ち時間が長いとか,病院食がまずいとかというレベルの問題は(私はこれが決して小さな問題であるというつもりは毛頭ありませんが),それだけ国民がいい意味でも悪い意味でも贅沢になったと言うことの表れなのかもしれません.

 世界に比類なき日本の医療制度の素晴らしさを享受できている幸せ,これを日本人は再認識してもよいのではないでしょうか.そしてこの素晴らしい医療制度が今後ともずっと引き継がれていくように祈るばかりです.
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