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2015/09/15

ジャポニカ万歳!

 小学校で使うあのジャポニカの学習帳は,その表紙に,子供たちの知的好奇心をくすぐるべく,植物や昆虫を渾身の迫力で撮った写真が載っていることで人気があります.

 ところが何年か前,あろうことか一部の親や教師から,昆虫をアップにした写真が気持ち悪い,子供が怖がってノートを開きたがらないといった信じがたいクレームが出て,何と制作している」会社であるショウワノートもそれを表紙に掲せることをやめてしまったのです.

 しかし先日,根強いファンの要望に応えて復刻版をネットで限定販売したところ,あっという間に完売し,会社側も完全復活を視野に入れているとのことを聞き及び,少し安堵したのは私だけではないでしょう.

 それにしても,このあまりにも馬鹿げたクレームの故に昆虫写真の掲載が取りやめになると知った時,私は正直,世も末だと感じました.

 自然界は人間の想像も及ばないような様々な生命に満ち溢れている,そしてその数だけ種を繋いでいく懸命な営みがある,そういうことを育ち盛りの子供たちが少しでも身近に感じることができるように,カメラマンが心をこめて撮影したのです.
 
 特に都会育ちで昆虫などあまりまともに見たこともないような子供たちが,気持ち悪いと感じるのは理解できなくもありませんし,確かに昆虫の顔というのは,アップにすると,エイリアンのような形相にみえます.

 しかし問題は大人の態度です.

 自然界には実に多様な命の形があるのだ,偉そうにしている人間などそのちっぽけな一部に過ぎないのだ,ということを示して子供達を諭すのが親の役割なのに,何と写真の掲載に馬鹿げたクレームをつけ,しかもよりにもよって現場の教師までがそれに盲従するとは,開いた口が塞がらないとはこのことです.

 昆虫は見た目が気持ち悪い,だから写真でさえ避けるというエゴに満ちた考え方は,街中でみかける障害者の方々を意味もなく差別することとどこが違うというのでしょうか?
 種を絶やさぬために厳しい自然界で懸命に生きている昆虫より,そんな人間の心の方が,よほど薄汚れているのではないかと思います.

 最近の世相を見ていると,子供を,ひいては人間を育てるというのはどういうことなのか,全く分かっていない人間が多いのではないかと感じます.
 そもそも汚いこと,危険なこと,きついこと,可哀想なことを避けさせるということなど,愛情でもなんでもありません.そう言った負の側面を全く教えないことこそ,むしろ一種の虐待なのではないか?
 
 それに最近の世の中は,なんでも褒めて伸ばす,叱ってはいけないというような風潮がもてはやされているようですが,それがあまりにも独り歩きしてはいないでしょうか?
 会社に入った新人たちは,親にさえ叱られたことがないから,上司に少し注意されただけですぐに辞めてしまったり鬱になったりする.
 そんなことになったら,過保護な親がしゃしゃり出て来て会社を訴えるだなんだと騒ぎ立てることになるから,たとえ彼等が仕事で重大なミスをしても注意すら出来ず,こんな言葉は言ってはいけない,あんなことはさせてはいけない,とまるで腫物のように扱わざるを得ない‥まさに狂っているとしか言いようがありません.
 だから,こんな親たちに育てられた子供たちこそ可哀想で,善悪の分別もつかない,そのくせ精神的にはガラスのように脆いドラ息子,娘になるわけです.

 今や世界がますますグローバル化していく中で,多様な人種,宗教,世界観の人々と接触し,時には厳しい局面も自分で力強く切り抜けていかなければならない時代になっています.
 こんな世の中を,愛情のこもった厳しさを教えられずに甘やかされて育った若い人たちが,本当に生き抜いていけるのだろうかと懸念せざるを得ません.
 そして,今回のことに限らず,あまりにも常軌を逸したクレームにいちいち耳を貸さなければなくなっている最近の風潮も,なんとかならないものかと感じています.
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