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2015/01/17

今こそ叡智を

今日は,阪神大震災から20年目の日でした.当時福島県いわき市に住んでいた私と家族はこの難をのがれましたが,見るも無残な姿になった自分の故郷がテレビに映し出された時,言葉を失ったのは忘れられません.
あれから20年,まだまだその爪跡があちこちに残っているとはいえ,よくここまで復興したものだとも思います.

さて今,戦争や内乱やテロで国家の存続さえ危うくなり,生死をかけて隣国に避難せざるを得ないような人びとが世界中にいます.彼等は,生まれ育った祖国に帰ることさえできないという理不尽な状態で,生きるか死ぬかの過酷な生活を強いられています.

翻って我が国はどうでしょうか?

我が国もここ最近は,政治しかり,経済しかり,外交しかり,失われた20年という言葉通りどれもぱっとせず,将来に対する漠然とした不安が国民全体に蔓延しています.

それでも,明日をも知れぬ生活をしている人々のことを考えるにつけ,私たち日本人はいかに恵まれているか?そしてなによりも,平和国家日本というブランドに日頃からいかに助けられているか?私たちはもっと自覚した方がいいのではないかと思わざるを得ません.

世界中どこに行っても,日本人とわかれば 相手は親近感や尊敬の念を持ちこそすれ,まず悪い印象は抱きません.
初対面の外国人が私たちを信頼する大きな理由の一つが,日本人だからというのは否定できないでしょう.
そして飛行機が無事日本の空港に降り立ったとき,いつも心からほっとした気分になるのはなぜか?
それは,飛行機が無事着陸してくれたということ以上に,いつもと変わらず平和で世界一治安がよい国に帰ってきた,という安堵感からなのではないか?

つまり,先人が築きあげてくれた日本という確固たるブランドに助けられ,暖かく帰国を受け入れ,守ってくれる国があるからこそ,安心して海外にもいけるのです.

過去の歴史を紐解けば,国家や民族の存亡の危機に見舞われた例は枚挙に暇がありませんし,我が国とて過去には幾たびもの国難に見舞われてきました.幕末,太平洋戦争のような国家的危機,そして関東大震災,阪神大震災,東日本大震災といった未曾有の大災害.
しかしその度に,国民の知恵と団結心と勤勉さで苦難を乗り越え,その過程を通じて,世界一治安がよく平和な,世界に冠たる経済大国となり,良質な工業製品や社会インフラ,クールジャパンといわれる文化やホスピタリティに代表される,日本という世界に誇れるブランドを作ってきたのです.

もう日本には愛想をつかした,海外逃避だ,などという人や,自虐感さえ有している人がいるようですが,そういう人たちには,日本という国家を,そして日本人というアイデンティティーを本当に捨ててしまう覚悟があるのかと問いたいと思います.

もちろん,今の日本の現状をみると,つい悲観的になりがちなのも理解できないわけではありません.

でも,いくら世界がグローバルになったといっても,どんなに長く海外に住んでも,私たち日本人は日本人としてのアイデンティティーを捨てることなど不可能でしょうし,そんなことを心から望んでいる人などいないでしょう.

ただ,何よりも肝に銘じなければならないのは,先人が血の滲むような苦労をして築きあげてきたこの平和と繁栄が,ただその中で安穏としているだけではいつまでも続くという保証はないということです.
このブランドを守るも失うも,今を生きる我々自身の責任ではないかと思うのです.

憲法改正,秘密保護法,集団的自衛権の問題と,国家の将来を左右するような事案が次々と俎上に挙げられています.これらの問題については,私もいったい何がベストなのかは正直わかりません.でも,賛成とか反対とか単純な視点からだけではなく,いったい我が国が今後も平和国家として世界の潮流の中で生き残っていくために,そして日本という素晴らしいブランドを維持しさらに高めていくためにどうしたらよいのか,という視点で,それこそ日本人の得意とする叡智をしぼって,真剣に考えていく必要があるのではないでしょうか.
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