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Dr.OHKADO's Blog

. 最後の砦(とりで)

 未曾有の甚大な被害で我が国を完膚なきまでに打ちのめしてしまった,あの忌まわしい東日本大震災からちょうど1年となった今日,日本国内のあちこちで犠牲者を弔う慰霊祭が行われました.

 天皇陛下が出席されていた東京の国立劇場で行われていた式典をテレビで見ていた私も,地震が起こった午後2時46分,合図にあわせて静かに黙祷しました.
 
 今回の震災では,その直後から日本中そして世界中から力強い支援が数多く寄せられ,人の心の温かさに涙した人々も多かったと思います.

 その中でも今回は特に,自衛隊の献身的な活躍が大きクローズアップされ,テレビでは特集番組も組まれていました.

 日頃からいかなる困難な状況でも切り抜けるべく厳しい訓練を重ねている彼等は,国家や国民を守ることがその責務とはいえ,自分たちの身の危険も顧みず,汗と泥にまみれて日夜人命救助に奔走邁進しました.
 その姿をみて,同じ日本人として,今回ほど彼らの活動に感動し,感謝し,愛国心を鼓舞されたことはなかったのではないでしょうか?
 しかも隊員たちの中には,自分自身や家族も被災者であった人たちも数多くいたと聞き及ぶとなおさらです.

 ある特集番組の中で,この働きぶりについて「それは自衛隊としての使命感から来るものなんでしょうか?」と質問されたある隊員が,「使命感などというものではなく,ただ人を助けたい一心で行っているのです」といっていたのには,心から頭が下がるおもいでした.

 そして私が何にもまして感銘を受けたのは,「それに何よりも,自分たちが国民を守る最後の砦(とりで)だからです」と言っていたことです.

 自衛隊の位置づけについては,憲法の問題とも絡んで,以前からいつも議論の遡上に上がってきましたが,私はこの場で,自衛隊が違憲であるか否かとか,PKO派遣時に武器使用をどうするかとか,微妙な問題を議論するつもりはありません.

 しかし,明治維新,そして太平洋戦争に匹敵するともいわれるこの未曾有の国難に際して,国民を力強くリードしていくべき政治家たちといえば,相も変わらず国民不在の醜い争いばかりを繰り返し,危機管理がゼロといってもいいほどの醜態をさらけ出している体たらく…,
 こんな彼等の情けない姿をみるにつけ,現地にいち早く赴いて自分たちの身の危険も顧みず被災者たちに寄り添った自衛隊員の献身的な活躍が,どれほど頼もしくありがたかったかということを,今回こそは国民誰もが素直に痛感したのではないでしょうか?
 国民の中には,自衛隊廃止論さえ主張してはばからない人々もいるようですが,今後も本当に同じ主張を繰り返す勇気があるでしょうか?私は彼らに問い正してみたく思います.

 「最後の砦」として頑張ったのは自衛隊だけではありません. 
 今回の大震災では,数多くの医療機関も被災し,医療難民となった多くの被災者たちが命の危険にさらされました.そんな中,医師や看護師をはじめとした医療従事者たちは,十分な機器や薬品もない中,被災者たちの健康を守るべく,全国から集まった同志たちにも助けられて,疲労困憊した身体にムチ打って日夜奮闘したのです.

 私自身は残念ながら現地に赴く機会はありませんでしたが,同じ医療従事者として,彼らの献身的な活動を心から誇りに思い,大きな拍手を送りたいと思いました.

 医療従事者,特に医師については,これだけの情報化社会になっても,世間の一部では相変わらず誤ったイメージを持たれていることは悲しい限りです.しかし,大半の真面目な医師は患者さんを救うために私生活さえ犠牲にして身を粉にして働いているのだ,ということを声を大にして言いたい…,それは,自衛隊と同様,人間のかけがえのない生命を守るという意味において,私たち医療従事者もある意味「最後の砦」だと思うからです.

 私は,そんな仕事を天職として与えられた自分を誇りに思いながら,今後も励んでいきたいと思います.
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Dr.Ohkado

Author:Dr.Ohkado
神戸市中央区新神戸駅ちかく,神戸芸術センタービル内医療モールにある循環器科を主とする開業医です.
徒然なるままに,日々考えていることをエッセイとして書き綴っていきます.
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