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Dr.OHKADO's Blog

. 「年のせい」とは言わせない

  5月も半ばをすぎ,青空の広がる暖かい日が続くようになりました.毎日バス通勤をしている私は,以前から健康のため,朝はバス停を3~4個手前で降りて歩くようにしていますが,今の季節はそれがとても気持ちよく,今日一日の活力が湧きます.

 さて,クリニックを訪れる患者さんの中には,他院での治療方針や説明に満足されず,受診される方も少なくありません.
 患者さんたちが訴えられることの多くに,「年のせいといわれた」ということがあります.

 この「年のせい」というセリフは,われわれ医療従事者にとっては極めて便利で使いやすい言葉です.高齢者の方々は長い人生を生きてきた分,当然ながら身体のあちこちにガタがくる.腰や膝が痛い,めまいやふらつきがある,物忘れが多くなった,皮膚が乾燥してかゆい,… 実に様々な訴えをされます.
 しかし忙しい日常診療では,失礼ながらひとつひとつの訴えにいちいち細かく対応していたら,時間がいくらあっても足りない.だからそんな時につい使ってしまうのが「年のせい」というこのセリフというわけです.
 それに「年のせい」であっても何らかの治療なりアドバイスを受けているならばまだしも,大概の場合は,「年のせいやから,まあ我慢してボチボチつきあいなはれ」というような対応が多いようです.

 しかしながら,患者さんたちは,それが「年のせい」であろうがなかろうが,とにかくその症状を何とかしてほしいとして受診されているわけです.にもかかわらずその言葉で片付けられてしまっては,身もふたもない. 
 そもそも中年以降の多くの病気は,突き詰めると加齢により起こるものが多い.昨今激増している認知症にしても,平均寿命が60歳そこそこだった時代にはそんな概念すらなかった,というのもそれ以上生きる人が少なかったからです.ですから平均寿命が90歳近くになった現代社会では,認知症とてある意味「年のせい」といえるでしょうし,中年以降に多発する高血圧,高脂血症,糖尿病のような生活習慣病や,癌とて,突き詰めれば「年のせい」といっても過言ではありません.

 しかし現代医療の目的というものは,結局それら加齢により必然的に起こってくる病気を予防し,治療することです.つまり,年齢を重ねて起こる病気はある意味すべて「年のせい」なのは当然ですが,それをなんとか治療して患者さんを苦しみから救うことがその使命なのだと思います.

 にもかかわらず「年のせい」といとも簡単に「宣告」してしまうというのは,患者さんに最後通牒をつきつけるようなものであり,医療人としては,自分のレベルの低さをさらけ出すようなものです.
 「宣告」された患者さんも「やっぱり年やからしゅあないんですかねェ」と妙に納得せざるを得ない.

 でもそれでは何も始まらない,年のせいだろうがなんだろうが,今こうして生きているわけですから,たとえ加齢は避けられない,そして根治することは困難であるとしても,少しでもそれによる痛み苦しみを和らげてあげる,それこそが医療の神髄だと思うのですが,いかがでしょうか?

 とにかく私のモットーは,決して「年のせい」と言わない,言わせないことです.
そして私個人としても,他人から決して「年のせい」といわれないように,健康増進とアンチエイジングに邁進したいと思っています.
 
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Dr.Ohkado

Author:Dr.Ohkado
神戸市中央区新神戸駅ちかく,神戸芸術センタービル内医療モールにある循環器科を主とする開業医です.
徒然なるままに,日々考えていることをエッセイとして書き綴っていきます.
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