心の清涼剤

 夏真っ盛り,連日記録的な猛暑が続いています.異常な暑さに体調を壊しそうで,すぐにエアコンのリモコンに手が伸びてしまいます.最近は熱中症による死亡者が増えているということや,私が子供のころはエアコンなどなくとも誰もが平気だったことを考えると,やはり温暖化の進行を信じざるを得ません.

 それでも私は気候の変化よりもっと深刻な変化をきたしているものがあると思っています.それは,ほかでもない,我々人間の「心」です.
 先日から,実の親が幼い子供に信じられないような暴力を振るったりベランダに閉じ込めたり,育児が嫌になったというだけの理由で鍵をかけたマンションに放置して死に至らせたというような,本当にやりきれないような事件が多発しています.
 
 先日,ある医療関係の新聞を読んでいたら,以下のようなエッセイがありました.

林覚乗老師のお話を聴く機会があった.刑務所や警察,看護学校で講和をされ,命の電話にもかかわられ,全国で年間250回以上講演をされている老師のお話は多岐にわたり,面白かった.中でも涙が出そうになったのが,少年と若い女教師の物語.
 小学校5年で担任した少年は服装も汚く勉強に身が入らない.たまりかねた女教師は少年の過去の担任記録を調べてみた.小学1年の記録で優しくて思いやりがあり,勉強もよくでき将来が楽しみ.2年では母親が病気で看病している.3年では母親の病気が重く構ってもらえない.4年では母親が亡くなり父親に暴力をふるわれている.これを読んだ女教師は,職員室で自分が放課後仕事をしている横で少年に予習復習を毎日させた.
 そんな日が続いたクリスマス,少年が小さい箱を胸に押し付けて帰って行った.開けてみると小さな香水瓶.少年の母親のだと直感した女教師は1,2滴つけて少年の家へ.荒れ果てた部屋で留守番をしていた少年が,お母さんの匂いがすると胸に飛び込んできて泣いた.6年では担任を離れたが少年は毎年欠かさずカードを送ってくれ,奨学金を得て母のような人々を助けたいと医師になった.今年送られてきたカードには,「結婚します.母の席に座ってください」とあった.

 「生まれてきてくれてありがとう」と言って育てれば「育ててくれてありがとう」という大人になり,少年非行はおこらないのでは,との御意見だった.                          兵庫保険医新聞より 
 おそらくわたしだけではないでしょうが,この実話は涙なしには読めませんでした.

 解決するべき問題が山積しているとはいえ,戦後の奇跡的な復興により世界第2位の経済大国に発展した今の日本は,未曾有の平和と繁栄を謳歌しています.しかしそれは同時に,人々から,家族のぬくもりとか人間同士の信頼関係とか,基本的な礼節や倫理感とか,人間にとってかけがえのないもの,決してお金では買うことのできない大事なものを奪いとってしまったのではないかと感じます.

 昨今頻発している殺伐とした事件は,もちろん身勝手な個人の犯行によるものであり,決して許されるものではありません.けれども私が子供のころにはこんな事件は想像すらできなかったことを考えると,何かやはり社会の大きな歪がまともな人間性までも奪ってしまっているのではないかと感じざるを得ません.
 どんな境遇にあっても,心に一抹の光をともしてくれるようなぬくもりや出会いやあれば,本当の意味での幸せを得ることができるのだということをこの話は教えているのだと思います.
 

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泣ける動画~その2

初めまして。アマロと申します。私のブログで先生の記事を紹介させていただきました。ブログでは、きれいな気持ちになる話や元気づけられる話などを集めてご紹介しています。今後ともよろしくお願いいたします。 心の清涼剤~きれいな気持ちになる話、元気づけられる話…【2010/12/31 11:39】