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医学部,医学部というけれど…

 今年は残念ながら日本人の科学系のノーベル賞の受賞はなく,さすがに四年連続の快挙とはいきませんでした.
 今世紀に入ってから我が国はノーベル賞ラッシュですが,最近の我が国の研究者を取り巻く環境は悪化の一途で,中国や韓国からの留学生やメジャーな雑誌への論文数が増加しているのとは対照的に日本人のそれは全く増えていないとのこと,このままでは今後ノーベル賞の受賞者は輩出されなくなるのではないかと危惧されているのは周知の通りです.

 ところで最近は,かつてないほどの医学部受験ブームのようです.

 私の時も医学部は最難関ということで特別視されてはいましたが,今はさらに拍車がかかり,高校の大学進学率のランキングに,東大京大のような一流大学の合格者数と並んで,国公立大学の医学部の合格者数を競うような状況になっています.

 医師になりたいという意思はさておき,学業成績がいいから医学部を受けるという風潮は以前からある程度はあります.
 しかし,特に今のように先の見通せない時代になってなおのこと,安定した収入と高い社会的ステータスを得られる(実際はそうでもないと実感しますが)資格職として目指す人間が増えているようです.

 もちろん医学というのは膨大な知識と高い技術を要する分野ですし,日進月歩の進歩についていくために日頃の勉強が欠かせませんから,やはり学業成績が低い人間や向学心のない人間は不適格でしょう.

 しかしその一方,特に臨床医学はその対象が生身の人間ですから,医師である前に人間としての基本的倫理観や高いコミュニケーション能力が欠かせません.
 この点,医学,特に臨床医学は,物理学,化学,生物学などと同様自然科学である一方,ある意味やや人文科学に近いところもあります.
 けれども一部の臨床医の中にはそういった基本的要素が欠けているのではないかと思われる例も多々あります.

 言い換えれば,学業成績がいいというだけで医学部に進んだ人間が,優れた臨床医になっているとは限らないわけです.

 たとえば灘や開成高校から東大理科三類(医学部)に進むような人たちは,凡人には想像できないほどの非凡な才能の持ち主が多いと思いますが,そういったエリート中のエリートが,誰しも良い臨床医になっているかどうかといえば,甚だ疑問です.

 もちろん,彼らを偏見の目で見ているわけではありませんが,そもそも最終的に私のような開業医になってしまうのならば,正直そこまでのエリートでなくてもいいのではないかと思いますし,たとえ臨床医としては不適格でも,適材適所という言葉の通り,基礎医学,あるいは全く他の理科系の分野でその能力を思う存分発揮できる場所があると思います.

 つまり,天才的なひらめきや凡人には思いもつかないような思考回路で何かを発見したりする能力,オタクと呼ばれるくらい一つのことに集中できる能力の人たちが,ただ生活の糧としての医師免許を獲るためだけにこぞって医学部だけに進んでしまうのであれば,優秀な頭脳が余りにももったいない,大袈裟に言えば,国家的損失なのではないかと思うわけです.

 でも今の日本の状況のように,いくら研究が好きでも,研究環境に大きな制約があったり自分の将来に経済的な不安があるようでは,誰も好き好んではその道を選ばないでしょう.

 ですから,こういう人たちには,国家が目先の利益に囚われず長期的視野を持って良い研究環境とふんだんな予算を提供し,将来の不安なく,好きな研究に没頭できるようにしてほしいと思います.それこそが科学技術立国としての日本の未来を救い,結果として今後もノーベル賞も輩出させる手立てとなるのではないでしようか.


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プロフィール

Dr.Ohkado

Author:Dr.Ohkado
神戸市中央区新神戸駅ちかく,神戸芸術センタービル内医療モールにある循環器科を主とする開業医です。
徒然なるままに,日々考えていることをエッセイとして書き綴っていきます.
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