東洋の真珠

 このお盆,かみさんとフィリピンに旅行してきました.

 話しは遡りますが,昨夏に結婚した長女夫婦に,今年2月とうとう海外赴任の命が下されました.旦那さんはフィリピンのマニラ,長女はインドネシアのジャカルタです.大手商社ゆえ,世界中に支社があり,しかも夫婦だからといって同じところに赴任させてくれるという甘い世界ではないものの,さすがに新婚早々数年間も異国で離れ離れというのはあまりにも苛酷ということで,長女はあっさり退職(このあたりが彼女らしいのですが)を決断しました.会社もかなり慰留したようですが,以前から海外出張等を通じて人脈を築いていた旦那さんの伝手でアメリカ資本のインフラ会社に採用され,めでたくそのマニラ本社の要職を得ました.
 というわけで2人とも,持ち前のバイタリティーと鍛え上げた語学力を生かして,新天地で多くの外国人たちに混じって働きだしたというわけです.

 フィリピンやマニラというと,どうしても貧困や治安の悪さや発展途上というマイナーなイメージばかりがつきまといますが,今回この先入観は覆えされました.

 彼女たちの住んでいる,マニラ中心部からやや東にあるボニファシオ(Bonifacio )という地区は,今後マニラの副都心的役割を担うべく外国からの投資も呼び込んで計画的に作られた人工都市で,広い道路に沿って,高級ホテルや高層オフィスビル,マンション,巨大でおしゃれなショッピングモール,数え切れないほどの洗練された店々や様々な施設が立ち並んでいます.ハイストリートと呼ばれる美しい目抜き通りは,目を楽しませる様々なイベントも相まって人々の憩いの場となっています.
 街はさらに外へ向かってまだまだ拡大途上のようで,あちこちでビル建設の槌音が響いていました.

 フィリピンの人口構成は,出生率が日本の倍もあるため若い人が多く,街全体が高揚感と活気に溢れています.まさにこれは日本の高度成長期に当たるのかもしれませんが,少なくとも肌で感じるエネルギーだけ見れば,既に成熟期を過ぎて下り坂に入った日本を完全に凌駕しています.
 彼女たちの住むセレンドラという企業の人々などが多い高層コンドミニアムは,広々とした居住空間に,メイドつき,運転手さんつきで,敷地内には自由に使える綺麗なプールやジム,スパなどの施設も完備され,大手企業に勤めている恩恵とはいえ,羨ましい限りでした.

 もちろんこのように近代的に整備された地域を離れると,やはりそこは他のアジア諸国と同様,雑踏と喧騒に満ち溢れています.
 道々には自動車(大半は日本製)や庶民の足であるカラフルなジプニー,パイク,トライシクルが競うように走り,クラクションがけたたましく鳴り響いていますし,信号待ちをしていると,貧しい物売りが寄ってきたりします.治安の悪いところも多々あるのも言うまでもありません.
 沢山の洗濯物がはためく粗末なバラック屋根の家屋の群れと,その間から雨後の筍のように立ち並ぶ近代的なビル群とのコントラストが,怒涛のように押し寄せる近代化の波と,激しい貧富の差を感じさせました.
 日本などよりはるかに大きな格差社会の解消はもちろんですが,,マニラから遠く離れてはいますが,南部ミンダナオ島でIS傘下のイスラム系原理主義が不気味に台頭してきていることも,今後のフィリピンに残された大きな課題です.

 最初の3日間はマニラ地区や郊外のスポットを2人がまるで添乗員のようにあちこち手際よく案内してもらい(これも運転手さんつきでした),普通の観光旅行では味わえないような貴重な経験となりました.
 旅の4日目は2人に別れを告げ,国内便で楽園セブ島に移動,この島での滞在はたった1日でしたが,海沿いのひろびろとしたリゾートホテルで,日常の喧騒からのがれ,静かな波の音を聴きながらゆったりとスパを受け,美味しい食事に舌鼓を打った至福の時間はこれまたかけがえのないものでした.

 旅の面白さは,それまで抱いていた先入観を打ち砕いて,目からウロコの発見をできること,そしてつい狭小になりがちな視野を拡げてくれることでもあります.
 私の心は,早くも次の旅先選びに向いています.


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「襟裳岬の~~♪」はもうエエわ

  今年ももうすぐお盆ですが,例年になく厳しい猛暑にさすがの私も身体がついていけなかったからでしょうか,夜間のエアコンをドライの連続運転にしていたのをきっかけとして,7月の最終週あたり,軽度の咽頭痛と,少し声がおかしいのに気付きました.
普段は風邪というものには無縁で,診察室で毎日のように風邪やインフルエンザの患者を診ていてもうつったことがなく,スタッフには,「先生は時々お腹を壊すけど,風邪をひいたのはみたことがない」といわれてきました.

  今回も,まあ2~3日適当に薬を飲んで様子を見ていれば治るだろうとタカをくくっていたのですが,発熱や鼻汁などはほとんどないものの,声だけが1週間経ってもなかなか治らず,まるで森進一のようです.音譜でいうと,ドからソくらいまでは出るのですが,ラシドあたりが全く怪しい.

  これは流石にヤバイと思い,会合や医師会の理事会,サックス,合気道など,声や体力を使うものは全て可能な限りキャンセルしましたが,診療だけは休むわけにはいきません.
別に身体がしんどいわけではないのですが,絞り出すように声を出している姿は,患者さんに逆に「お大事に」と言われる始末.

  手持ちの薬を色々飲みましたが声だけがどうしてもなおらないのは流石におかしいと思い,8月7日,向かいのビルにある岡耳鼻咽喉科の岡しおり先生のところに午前診後ギリギリで駆け込みました.ファイバーで覗いてもらったところ,やはり,声帯が炎症で真っ赤で,抗菌剤と去痰剤でフォローアップでいいが,完治にはしばらくかかるとのこと.まあ,切開排膿を要するような状態ではなかったのが幸いでした.岡先生には感謝です.

  というわけで,初期の頃に比べればだいぶマシにはなりましたが,商売道具の声だけはごまかせず,まだ患者さんたちに「お大事に」と言われる辛抱の日々が続いています.

  開業してまる9年,とにかくただただ前を向いて,馬車馬のように頑張ってきましたし,それを体力的精神的に辛いなどと思ったことはありませんでしたが,今回の件はきっと神様から,身体のことも考えて少しはペースダウンするようにとの思し召しなのかもしれません.

  いつまでも,「襟裳岬の〜♫」とか冗談言っている場合ではないということですね(笑)
  ただ,「先生はマグロ(泳ぐのをやめて止まってしまうと死んでしまうといわれます)みたいです.」と普段から称されている私,いきなりマンボウのようになったら,たぶん余計に怪しがられるかもしれません(笑)


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