Dr.OHKADO's Blog

. 年の瀬に思う

今年も残すところあとわずかとなりました.

今年はよく頑張ってくれたスタッフ全員をねぎらう意味も込めて,診療を12月26日土曜日で終え,少し長い休暇としました.

そのため患者さん達からは,「先生,年末年始はまた海外旅行ですか?」なんてちょっといたずらっぽく(笑)言われましたが,きっと私たちの頑張りを認めて許してくださるのではないかと自賛しています.

例年のごとく,年の瀬になると多忙さに拍車がかかり,何か追い立てられるような気分になりますが,実は私はこの慌ただしい季節の雰囲気がすごく好きです.
年が改まるという一つの区切りに向かって物心ともに整理が出来るからです.
それに何より,今年も色々あったけれども水に流してまた来年も頑張ろうという前向きな気持ちになるのです.
師走の街の風景や行き交う人々の姿をみていると,それぞれの人生と過ぎ行く年に思いを巡らして,なぜか胸が一杯にさえなります.

こういう感情は,おそらく私だけではないかもしれません.
特に日本人は,降りてくる歳神様に新しい年の幸運を授けていただく機会として,古来より大晦日とか正月というものを特別な節目としてきたからでしょう,こんな気持ちになるようにDNAに刷込まれているのではないかと思います.

忘年会もかけがえのない楽しい時間です.
今年も11月末の医師会の忘年会に始まり,クリニックのスタッフたち,サックス仲間,そして昨日は合気道の仲間と,一年の労をねぎらって楽しいひとときを過ごしました.何はともあれ今年一年頑張ったという安堵感,達成感を共通の肴にして美味しいお酒が飲めるのですから,お酒好きの私にとってこんなに楽しいことはありません(笑)

今年は我が家の次女がめでたく入籍しました.私の初めての「息子」となる彼女の夫は,非常に誠実かつ男気のある人物で,親としても安心しました.
事情があって次女はまだしばらく自宅にいるので,何か全然結婚したという感じがしないのですが,正式に結婚式を挙げていよいよ家を出て行くことになった時には,心からの喜びと,そして一抹の寂しさを実感することになるでしょう.

悲しいこともありました.この秋,大学時代からの親友であるA君が,突然の病で亡くなったのです.大学時代,A君ら悪友たちとは,よく飲みよく語り,若気の至りで今となっては赤面してしまうようなバカな悪さ(笑)も色々しましたが,どれもかけがえのない楽しい思い出です.
小児科医として私より早く地元岐阜の地に開業した彼のクリニックは,その暖かい人柄に惹かれる患者さん達で非常に流行っていました.
今回,診療の都合で葬式には行けず弔電とご香典しか送れませんでしたが,来年早いうちに,ぜひその墓前に手を合わせに行きたいと思っています.

当院の患者さん達も,何人かの方が鬼籍に入られました.ここに謹んでご冥福をお祈りいたします.

残念ながら今年も世界中でテロや紛争が絶えず,数多くの無実の一般市民が犠牲になりました.
イスラム過激派によるテロの頻発で,先進国の一部には人種差別的な思想を平気で唱えるような極右政党が再び台頭している上,国際関係も再び東西冷戦時代を彷彿とさせるような危険な状態で,一歩間違えれば第三次世界大戦になるかもしれないとさえ言われています.

人類というのは,どうしていつまでたっても過去の悲惨な歴史に学ばないのかと嘆息せざるを得ません.

国内を見渡しても外交,経済,原発,沖縄,安保,貧困,少子高齢化,社会保障,自然災害 等々,問題山積で,いったいこの国はどうなっていくのか,未来に希望を持てるのかと漠然とした不安が社会全体を覆っているようです.

それでも,私たち今を生きる人間は,皆で叡智を絞ってこの恐ろしいほどに山積する難題に立ち向かっていくしかありませんし,きっとそれが出来る,そして必ず明るい未来が待っていると信じています.

私のような一市民に出来ることなど微々たるものかもしれません.それでも,自分の持てる力を少しでも発揮して,今後も微力ながら人々の,そして社会の役に立っていければ幸いです.

来年は,今より少しでも良い世の中になり,少しでも多くの人々に幸せが訪れますように!!

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. 夜明けのコーヒー

 今年もあとわずか,神戸の街はクリスマスシーズン真っ盛りで,また名物のルミナリエには多くの人々が訪れています.
クリニックも例年にたがわず諸事あわただしくなっており,せかされるような毎日が続いています.

 さて先日、当院のホームページでお世話になっているYさんと、医師会で一緒に仕事をしているO先生とで食事をする機会がありました。医療機関のホームページを多く手がけており、テレビの医療ドラマを見るのも好きだと言われるYさん、この日ほろ酔い気分も手伝ってか、饒舌な口調で面白いことを言われました。

 それは、ドクターやナースが緊急オペなどでテキパキと仕事をこなしている姿は本当にカッコいい、でもむしろ、ようやく仕事を終えて疲労困憊した姿のドクターが、まだ術衣のまま、病院の片隅でパンを黙々とかじっているような場面にカッコよさや哀愁を感じるというのです。

 この場面、テレビの俳優のようにカッコいいかどうかは別として(笑)、まさに心臓血管外科医として病院に勤務していたころの自分の姿に重なりました。

 一刻一秒を争うことの多いこの世界、深夜に緊急オペで呼び出されることもしばしば、特に冬場など、寒さに震えながらも冷たい水で顔を洗って無理やり目を覚まし、身だしなみもそこそこに家族の寝顔を横目に出かけたものです。
今でこそ時効となりましたが、前夜のアルコールがまだ抜け切れていないことも数知れずでした。

 息急き切って病院の裏口を守衛さんに開けてもらい、ひとけのない薄暗い廊下を足早に歩いて病棟に着くと、そこだけは不夜城のように慌ただしく、 物々しい雰囲気に包まれています。

 解離性大動脈瘤などで緊急オペが必要と判断すれば、すぐに他の外科医や麻酔科医、オペ室のナース、人工心肺の技師さんたちに集合をかけなければならず、時としてその数10人くらいになります。
患者さんの容態がどんどん悪化して血圧が下がってきたりすると、オペ室に無事搬送出来るまでは生きた心地がしませんでした。

 深夜のオペ室は独特な雰囲気に包まれています。
 緊急症例の場合は往々にして全身状態が悪い上、オペそのものが結構難しいことが多く、時間も6~7時間かかるようなこともザラです。
 従って非常な緊張感に包まれますが、何とか山場を超えると、緊張が解けてどっと眠気が襲ってきます。けれどもさらにその猛烈な眠気を乗り超えて夜明け近くにもなると、どういうわけか皆ハイテンションになり、外回りの看護師さんがご機嫌な音楽をかけてくれたりして最後にもうひと踏ん張り頑張れるのです。

 ようやくオペが終わって、点滴類やら血圧計やら心電計などのモニターをわんさかぶらさげた大きなベッドを皆で慎重に押して運び、オペ室の扉がガラガラと開く、そしてテレビでお馴染みの場面のように、心配そうに見守るご家族の視線を感じながら、ICUに入室となります。

 まだ人口呼吸器に繋がれたままの患者さんに緊張した面持ちで面会していただいたご家族から、涙ながらに「先生、皆さん、ありがとうございました」などと頭を下げられると、ようやく報われた気持ちになったものです。

 患者さんの状態も落ち着き、安堵してふと我に帰ると、どっと溢れてくる疲労と空腹と口渇とに気づき、オペ着に白衣だけひっかけて階下にある自販機へ直行、出勤時にいた守衛さんに「お疲れ様でした!」なんて声をかけていただき少しほっこりし、自販機で買ったコーヒーとスナックを片手に、まさに疲労困憊した身体を椅子に投げ出すのです。

 もう外はそろそろ夜のしじまが終わって空が白みかけている中、今日もみんなよく頑張ったな、患者さん元気になるといいな、なんて疲れた頭の中でしみじみ思うのでした。

 それからひと時も経たぬうち、そんな夜中の壮絶な闘いなどまるでなかったかのように、いつものように病院の変わらぬ日常が始まります。

 昨今、モラルの欠如した医師がよく話題になりますが、世の中の大半の真面目な医師たちは、人の命を救いたいという使命感で、こうして人知れず昼夜違わず奮闘しています。

 助かった患者さんたちの中には、その後元気になって社会復帰された方々もおられれば、せっかく助かったのにまたもや不養生を重ねてしまっている方々もおられます。

 でも、その陰には、名も知れぬ多くの医療従事者の献身的な働きと、そして何より、高額な治療、高度な治療でさえ誰でもどこでも安心して受けられる日本の素晴らしい医療制度があるのだということを理解してくだされば、私たち医療従事者としても頑張り甲斐もあろうというものです。

. プロフィール

Dr.Ohkado

Author:Dr.Ohkado
神戸市中央区新神戸駅ちかく,神戸芸術センタービル内医療モールにある循環器科を主とする開業医です。
徒然なるままに,日々考えていることをエッセイとして書き綴っていきます.
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