染井櫻

 この春もまた例年通り日本中で美しい桜が咲き誇り,私たち日本人のみならず,最近とみに増えた外国人か観光客をも魅了してくれました.
 クリニックの入っているビルの横を流れる生田川沿いの公園も,毎年この時期花見客で賑わいます.今年はスタッフと花見と相成り,天気も良く和やかなひと時を過ごしました.馴染みの女性患者さんのOさんにも偶然遭遇!「先生,桜なんか見んでもいっつも花に囲まれとるやん(^^)」と悪戯っぽく笑われました(笑)

 桜といえば,今年も東京駒込から銘酒「染井櫻」が届きました.幼稚園時代からの幼なじみの同級生の女性,Aさんからです.

 私が幼稚園,小学校時代を暮らした東京駒込は,下町風情を残した町でした.実は日本の桜の代表的な品種であるソメイヨシノは,駒込周辺が発祥の地です.
  街の中心部の商店街は染井銀座と呼ばれていましたし,私が通っていた駒込小学校の校庭には駒ザクラといわれる大きな桜の木があり,学校のシンボルでした.いまだにすぐに歌える校歌にも「都の空に名も高き,染井の里の花よりも~」とあります.正直,あの頃そんなことにはあまり興味はなかったのですが‥(笑)
 当時,アメリカシロヒトリという蛾が関東を中心に大発生し,私の自宅近くの桜の木にもその幼虫が樹全体を覆い尽くすほど纏わりついていました.洗濯物に風で飛んできた幼虫がついていたことも多々ありました.
私たち子供は,よくその幼虫を面白がって片っ端から掻き落として,まとめて焼いたりしたものですが,大事な桜の樹を守るのにささやかながら貢献出来たかな,と今になれば思います.

  「染井櫻」は,この地で生まれた日本酒で,Aさんは毎年のようにこのお酒をこの時期に送ってくれるのです.
 箱には地元の商店街が作ったポップな感じの駒込の地図も入っていて,当時のことを懐かしく思い出させてくれます.
 何よりも,卒後何十年も経つのにこうして毎年遠方から気にかけてくれる友がいるというのは本当にありがたく,Aさんの明るく優しい人柄に触れて嬉しくなります.

 日本人のアイデンティティーそのものと言っても過言ではない桜という花の美しさ,そして美酒「染井櫻」,それを遠方より送ってくれる友の心遣い.
 そして,真新しい制服やスーツに身を包んだ若い人たちで街が賑わうこの時期,クリニックでも,進学や就職の喜びの声を聞いたり,まだ入社したての業者さんたちが緊張した面持ちで挨拶に来られたりすると,思わずエールを送りたくなります.

 心和む爽やかな季節です.



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