Dr.OHKADO's Blog

. それぞれの旅立ち

  3月も終盤,あちこちで桜が開花し,一気に春めいてきました.

 つい先日,3年間にわたり当院で働いてくれた事務スタッフのTさんの送別会を行いました.彼女は,人懐っこい笑顔とハキハキした元気な声,優しく明るい性格で,他のスタッフはもちろん,多くの患者さんたちに慕われ愛され,ファンもたくさんいました.時には僕のよき相談相手にもなってくれ,愚痴ともいえるような話でも嫌な顔ひとつせず,一所懸命聞いてくれるような女性でした.
 そんな彼女でしたが,30代も後半になってようやく待望の子宝を授かることになり,退職となったのは残念だけれども,とてもおめでたく嬉しい出来事です.今後は優しいお母さんとして子育てに励み,落ち着いた暁にはいつの日かクリニックに戻ってきて,是非またその笑顔を振りまいてもらいたいと思うばかりです.


 そして我が家では,長女が6年間にわたる大学生活に終止符を打ち,4月から東京で就職することとなりました.
 活発な長女は,高校の成績ではとても無理といわれた京都大学工学部で学びたい一心で,死にもの狂いで勉強し,1浪の末に見事合格しました.女性にはめずらしく土木工学を専攻した彼女は,サークル活動や海外旅行,ミスコン出場などもこなしつつ勉学に励み,大学院に進んでさらに専門を深め,海外の学会で発表するなどその行動力を存分に発揮し,念願だった大手総合商社への就職がかなったわけです.
 その活躍ぶりは,なんと朝日新聞社の発行する雑誌「AERA」の3月11月号に紹介され,私の周囲でも多くの知人たちが読んでくれたようです.

  大学受験の際も就職活動の際も,特に何も気の利いたアドバイスなどしてやれず,しかも開業当初と重なり経済的に援助するのもなかなか大変でしたが,それに答えてほんとによく頑張ったと思います.
  先日行われた大学院の卒業式の写真に写った華やかな振袖姿の彼女は,ひたすら頑張ってきた達成感とこれからの未来への希望で,輝いているようでした.
  先日彼女が東京へ旅立つ朝,1通の手紙を受け取りました.手紙には,私とかみさん,彼女にとって良き相談者であり癒しの存在ともいえる妹への感謝の文面がつづられていました.文面の最後に,「お父さん,お母さん,ちっち(妹の愛称),わたしはこの家族に生まれてきて本当に幸せです」と書かれており,親バカではありますが,思わず熱いものがこみあげてしまいました.
  社会人として旅だつ彼女には,今後様々な試練も待ち受けているでしょうが,その明るさと社交性とバイタリティで,人生の艱難辛苦を乗り越えていってほしいと思います.

  
 3月というのは出会いと別れの交錯する時期…,私の心の中は,少しさびしくほろ苦いけれども,心洗われるような爽やかな気持ちでいっぱいです.
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. 明日への糧(かて)

 今月9日に,母校の岐阜大学医学部の卒後30年目の同窓会が岐阜市内で開かれ,参加してきました.
同窓会は10年前,5年前にも開催されましたが出席かなわず,今回私はまさに卒後初めての出席でした.

 1学年約80人のうち今回は25人あまりが出席しましたが,卒後30年を経て初めて再会となった顔ぶれも多くおり,心から懐かしいひと時を過ごせました.
 私のように開業したもの,医学部の教授になったもの,勤務医として頑張っている者と様々でしたが,まだいずれも医療の第一線で元気に活躍しているのは共通でした.
 
 同窓会の始まる前に,懐かしい医学部周辺を散策しました.
 実は医学部は何年も前に附属病院とともに他所に移転し,広大な跡地はまだ更地のままでした.学生時代によく通った喫茶店や食堂,飲み屋なども,すでにほとんどなくなっていましたが,私の頭には当時の光景が走馬灯のように蘇っていました.

 医学部からほんの目と鼻の先にあった,カウンターと狭い小上がりだけの「かつや」という小さな飲み屋は,医学生や病院関係者たちのたまり場でした.そこのオヤジさんと奥さんは,特に私たちのような貧乏学生にとっては,まるで両親のような存在でした.
 オヤジさんは日中に布団乾燥の仕事もしていましたが,何回かアルバイトで手伝いを頼まれました.大して人手を要するとは思えないような仕事をわざわざ手伝わせてくれたのは,きっと,実家から遠く離れて下宿生活をしている私の生活費の足しにでもなれば,という優しい親心だったのかもしれないと,今になって思います.
 しかし30年という月日は無情で,そのオヤジさんも奥さんもとうの昔に亡くなってしまったとのこと,当時のことが思い出されて,万感胸に迫るものがありました.

 昨年末,今年と高校や大学の同窓会が続いたのは,単なる偶然ではないかもしれません.人生の後半に突入している私くらいの人間にとっては,単に学生時代の思い出を懐かしむだけではなく,今までの人生を振り返ってみるまたとない機会になったともいえます.
 
 自分は本当に今まで納得のいく人生,人に恥じないような人生を送れたかどうかと言われれば自信はありませんし,ああすればよかった,こうすればよかった,と後悔することも数知れません.大学卒業後の30年も,紆余曲折に満ちた人生でした.
 それでも,曲がりなりにも医師という職業を続けることができ,良妻賢母のかみさんと出会い,2人の愛娘もすくすくと天真爛漫に育ったこと,そして家族の誰もがたいした病気もせず健康でこれたことは,本当にありがたいことだといわざるを得ません.

 これまでの人生経験は,酸いも甘いも何物にも変え難い自分だけのもの,だからそれを糧として,また明日から前を向いて一生懸命生きていこうと思います.
 
. プロフィール

Dr.Ohkado

Author:Dr.Ohkado
神戸市中央区新神戸駅ちかく,神戸芸術センタービル内医療モールにある循環器科を主とする開業医です。
徒然なるままに,日々考えていることをエッセイとして書き綴っていきます.
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