新しき相棒

 1月も後半となりましたが,日本全国,非常に寒い日が続いています.昨年末は予想外にあまり流行らなかったインフルエンザ,神戸市ではこれから一気に流行するとのことですが,何時も外れるのが予想というもの,本当のところはどうでしょうか?

 さて,国民にあまねく普及している携帯電話はこの1-2年でスマートフォンが一気にブレイクし,私の周囲の人々も次々と乗り換えています.携帯電話に限らず家電製品,IT関連商品は日進月歩の進歩で,次から次へと新商品が世に出ては我々庶民の購買意欲をそそります.
 そんな風潮に反発するわけではありませんが,私は元来,新しいものが出てもすぐには飛びつかずしばらく様子を見るのが信条です.鳴り物入りで世に出ても,実際に使ってみると不都合が出てすぐに改良が必要になったり,またしばらくすると価格もぐんと下がるからです.

 仕事でも同じことで,新薬が出るたびに業者さんたちが使ってくださいと盛んに勧めるのですが,やはり私はすぐには飛びつきません.いくら厳しい臨床試験を経たものでも,臨床で実際に使いだしてから重大な副作用報告がなされるようなことも多々あるからです.

 そんなわけで,スマートフォンもしばらくは様子を見ていたのですが,娘たち二人が昨年からiphoneに乗り換えたのをきっかけに,かみさんとともについに思い切って乗り換えることとしました.

 先週の休日,以前からお世話になっている神戸市内のとあるau shopに出向くと,さっそく二十代半ばと思しき女性スタッフが説明を始めてくれました.
 
 さて彼女の説明ですが,今までの古い携帯から乗り換えるに際し,まずはサービスや料金の話になる.
 カウンターの向こう側に座った彼女は,パソコンとパンフレットを使ってテキパキと説明をしてくれます.
 「基本料金は~,家族割なら~,通信料は~,定額料金だと~,ポイントを~,契約年数は~,カード払いでは~,アプリは~,容量は3GBなら~,WiFiを使うと~」と次から次へと流れるように話が進み,いつものごとく最初は「フンフン」と努めて理解しながら聞いていたのですが,途中からだんだん面倒くさくなってくる….要するに,できるだけお得なのはこうこう,こういうことなのですよ,と色々シミュレーションして教えてくれるのですが,いつものごとくややこしいこと極まりない.

 説明の途中で当然のように出てくるIT用語については,公私ともに長らくパソコンのお世話になっている私にとっては馴染みがあるので,店員さんと対等に?話しができる.
 でもこんな説明,今まで携帯電話をまったく使ったことのないような人や,「アプリ…?リンゴがなんやて??あ~,リンゴはアップルやったな(笑)」とか「ハードディスクっちゅうのは,鉄でできた机のことかと思ってましたヮ」なんていうレベルの人たちには,はっきり言って宇宙人の言葉のようなものかもしれません(~_~;)

 それでもやっぱり料金体系やサービスの話は相も変わらず複雑多岐…,集中力の途切れた私は,流れるようによどみなく話す,ちょっと受け口気味の彼女の口元の動きが,何か顔面に張り付いた別の生き物のようにさえ感じられ,申し訳ないのですが説明の後半は,メモを取っているかみさんに任せて,ほとんどうわの空で聞いていました.

 ニコニコと笑顔を絶やさず説明してくれている店員さんも,仕事とはいえ,毎日毎日,時には全くのド素人相手に同じ説明をさせられて,ひょっとしていい加減ウンザリしているかもしれません(笑).

 私もクリニックでは,初診の患者さんに一から説明しなければならないことはしょっちゅうです.特に下肢静脈瘤の手術や禁煙治療,プラセンタ注射の説明などは,患者さんの数が多いので,何回も同じ説明を繰り返していると,申し訳ないのですが,自分の口がまるで自分の意志とは無関係に,自動的に動いているような錯覚に陥ることさえあります.
 もちろん患者さんは,はいはいとうなずいているのですが,実際どこまで理解してくれているのか…,ひょっとして,流れるような?私の説明を聞く彼等の気持ちも,au shopでの私のそれのようになっているかもしれないと思うと申し訳なく,反省しきりです.

  まあそんなこんなで1時間以上もかかってようやく手にしたiphone,まるでおもちゃを買ってもらった幼児のようなウキウキした気分で帰宅するや否や初期設定に取りかかりましたが,これがまたキー操作が慣れないのでややこしい…,結局なんだかんだで2時間くらいかかってしまいました.

 そうこうしているうちに帰宅してきたのが我が次女… 救世主現れたり!とばかりに,いつもは色々と偉そうに?教える立場の私もかみさんも,この時ばかりは彼女だけが頼り,恥も外聞もなくその前にひれ伏して教えを乞いました.
 さすがIT世代の申し子ともいえる平成生まれの彼女,既にもう自分の分身のようになったこの代物を,芸術的ともいえる,目にもとまらぬ指さばきで得意げに?扱っているのを,私もかみさんもただポカンと口を開けて見ていざるを得ませんでした(笑)
 
 それはともかく,新しくやってきたihpone,まだまだ使い方には慣れませんが,それでもいじるたびに新しい発見があって新鮮です.何かに没頭するといつもそうなのですが,昨日もおとといも深夜まで夜更かしをしてしまいました.
 古くから受け継がれたもの,伝統的なものの素晴らしさはいうまでもありませんが,人間の叡智を結晶させた,時代の最先端のものに触れるのもまた楽し!です.


スポンサーサイト

新春雑感

  新しい年が開けました.年齢を重ねるにつれ,年月の過ぎるのがますます早く感じられるようになり,年末年始という一年で最も重要な節目でさえも,あっという間に過ぎ去って行ってしまう感が否めません.
 それでもやはり不思議なもので,新年が明けると例年にたがわず実に新鮮な気持ちになり,気分が引き締まります.特に今年は天気も正月晴れで,より一層すがすがしい気分でした.

 我が家では正月の元旦・二日は明石にある私の実家に私と弟の家族が集まるのが恒例となっていますが,今年は父母の意向で趣向を変えて,須磨の海岸沿いにあるシーパルという国民宿舎に宿泊,すべてお任せでゆったりと過ごしました.

 毎年のことなのですが,今回も父は全員を前にして,自分たち全員がこうして元気で暮らしていること,そして子や孫が立派に成長して元気に活躍していることを心から嬉しく思い,自分は本当に幸せ者だと,酔いも手伝ってか上機嫌で言っていました.私は「また前と同じこと言っとるなあ…」なんて思って聞いていましたが,父の喜びは理解できました.

 確かにこんなことは本当に小さな幸せかもしれません.それでも,どんなに多くの富やどんなに高い地位や名声よりも,自分や自分の愛する人たちが,今までと同じように,日々を明日も明後日も無事紡いでいけるというごく単純なことが,実は何よりも幸せなことなのではないかと思います.

 このことは特に今,昨年未曾有の大震災を経験した私たち多くの日本人は,誰よりも痛感しているはずです.
 
 この震災では,1万5000人以上もの命が一瞬にして失われ,行方不明者もいまだ数千人,そして避難者は数万人,本当の復興にはまだまだ長い道のりが待っています.

 特に贅沢をするわけでもなく,家族や地域の人たちと本当につつましやかに暮らしていた,そうした当たり前の暮らしが一瞬にして失われ,今の今まで肩寄せ合って暮らしていた家族,同じ教室で机を並べていた同級生,昨晩居酒屋で飲み交わしたばかりの親友,いつものように楽しくデートした愛する恋人… そんなかけがえのない人たちが,突然眼の前からいなくなってしまった悲しみは,察するに余りあるとしかいいようがありません.

 この震災は,ただ日々を無事に過ごせるという,ごく当たり前のように享受している幸せが,実は全然当たり前のものではないことを再認識させたのではないでしょうか.

 確かにこの震災は日本人にとって筆舌に尽くしがたい不幸な出来事でした.もしかしたら,この地震に限らず昨今世界中で頻発している異常気象や自然災害は,文明の進歩に酔いしれた傲慢さがゆえに大自然に対する畏怖や感謝の気持ちを忘れてしまったり,相も変わらず醜い争いばかりを繰り広げている人類に,神様が天誅を下しているのかもしれません.

 しかし国民一丸となってこの逆境を乗り越える中で,今こそ命の大切さとは何か,本当の幸せとは何か,人と人との絆とは何かといった,人間にとって何よりも大事なことを皆が考え直すことができれば,日本はさらにもっと素晴らしい国になっていくでしょう.それに何よりもそうでなければ,亡くなられた多くの犠牲者の魂が浮かばれません.

 今年こそ,日本そして世界が,幸せな一年であるように心から願います.