Dr.OHKADO's Blog

. 強き日本人魂

 東日本大震災,福島原発事故,政治の迷走,未曾有の不景気と,このところ本当に何かに祟られたように元気のない我が国ですが,先日行われた女子ワールドカップでのなでしこジャパンの優勝は,我々日本人に久々に深い感動と大きな誇りを与えてくれました.
 
 サッカー強豪国の外国選手たちと比べれば体格的にも体力的にも明らかに劣り,優勝することなど見果て夢とされてきましたが,たゆまぬ努力で培った男子顔負けのテクニックやスピーディーな動き,磨き上げられたチームワークで見事にそのハンディキャップをはねのけて優勝したのを見た時は,日本人誰しもが本当に胸のすくような思いを抱いたでしょう.

 私は,あのイチロー選手が初めて大リーグに行った時,それまでの大リーグの常識では考えられないような華奢な体格をみたアメリカ人が,誰一人としてその後の素晴らしい活躍を想像だにしていなかったということを思い出しました.

 しかし何よりも我々を感動させたのは,体格やパワーはもちろんですが,彼女たちの生活や練習環境も決して恵まれたものではなかったということです.ほとんどの選手がサッカーを続けるためにに別の仕事を持ち,少ない収入の中からなんとか時間や資金を工面して練習をするという有様で,地元の後援会やボランティアの支えも必要だったとのことでした.
 遠征費を節約するために移動は新幹線ではなくバスを使い,飛行機もアメリカの選手がチャーター機まで使っているのに対し,エコノミーは当たり前とのこと,涙ぐましいばかりの苦労をしていたのです.
 それでも,こういった逆境を乗り越える強烈なハングリー精神こそが,彼女たちの優勝の原動力になったともいえるでしょう.

 彼女たちの優勝は日本中を歓喜の渦に巻き込み,女子サッカーなど今までほとんど見向きもしなかったマスコミも,例によって掌を返したように取材攻勢を浴びせています.
 しかし,以前のブログ(2010年2月14日)にも書きましたが,サッカーに限らず,真の意味でスポーツ選手たちを応援する気持ちがあるのであれば,マスコミも国民も一時のブームに乗ってただ騒ぎ立てるのではなく,彼らが生活のことを心配せず安心して練習に打ち込めるようにし,優勝やメダル獲得といった偉業に対しては十分すぎるくらいの報酬を与え,そして引退後のことも保障するような体制を整えることこそ,重要なことではないかと思います.

 話変わって,同じころ,人気ベテラン力士,大関魁皇が角界から引退しました.かつての横綱曙,若乃花,貴乃花兄弟と同期で,強力な右上手を武器に活躍し横綱候補ともいわれましたが,怪我に悩まされて何度もカド番に立たされました.しかし不屈の精神でそのたびに復活し,幕内優勝5回,そして引退した今場所ではついに通算勝ち星数で横綱千代の富士の持つ記録を更新,1047勝といいう大記録を打ち立てました.

 彼の活躍は,横綱のような華やかさはありませんでしたが,勝って奢らず負けて腐らず,常に自分の道を地道なまでに突き進む姿が,日本中の多くのファンを魅了しました.身体中にテーピングをし,満身創痍になっても相撲を取り続ける姿は,本当に見ていて痛々しいほどでしたが,それでもそのそのひたむきさが人々を感動させ,特に中高年の人々に勇気と元気を与えたのです.

 なでしこジャパンと魁皇,スタイルは違いますが,どちらも今の日本人の魂を揺さぶり,勇気づける存在でした.それは,どちらも血のにじむような努力をし,逆境を跳ね返してきた人々だけに与えられる特別なオーラが出ているからではないかと思います.

 前述したように,オリンピックやワールドカップなど,世界レベルで通用するスポーツ選手を育成するには,彼らの生活や練習環境を,アメリカや中国のように国家を挙げて整えることが最重要であることは論をまたないでしょう.
 でもなでしこジャパンや魁皇を見ていると,ひょっとして日本人の遺伝子には,恵まれた環境を与えられるよりも,苦節何年といった逆境におかれてハングリー精神を持った方がより強くなれる,というようなDNAが含まれているのかもしれない,そして応援する側の我々も,そういった人々にこそ魂をくすぐられるのかもしれない,などとさえ考えてしまいます.
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. ああ,か弱き我ら…

 いよいよ本格的な夏が到来,連日のようにうだるような猛暑日が続いています.おまけに今年は,福島原発事故に端を発した多くの原発停止による全国的な電力不足を乗り切るため,今や国をあげての節電ブームです.

 しかし突然の停電や経済活動の停滞などへの懸念はもちろんですが,過度の節電による熱中症の患者も激増しているとのこと,昨年でさえ全国で1700人以上が熱中症で死亡したというのに,今年はどうなるのか?…想像しただけでも恐ろしくなります.
 
 まさに映画「三丁目の夕日」に描かれたような時代だった私の子供時代は,エアコンのある家庭などもちろんほとんどありませんでした.涼をとる文明の利器といえば旧式の扇風機くらいなもので,暑いときには家中の窓を開け放ち,縁側や縁台に座ってかき氷やスイカを食べ,風鈴の音を聞きながら団扇を使いました.軒先には葦や竹で作られたスダレが日光を遮ってくれ,道には打ち水をして涼しさを感じました.
 高層ビルやマンションもまだ少なく,放射熱も今とは比較にならないほど少なかったでしょうし,温暖化がまだ進んでいなかったあの時代,夏の暑さは今よりはずっとましだったかもしれません.熱中症という言葉もなかったと思います.
 そうではあってもあの時代,エアコンなどない生活が当たり前,人々は知恵を絞って暑さを凌いでいたのです.

 しかし今の世の中,状況は一変してしまいました.
 エアコンだけではありません,あらゆる文明の利器の発達が,人間をあらゆる意味で心身ともに脆弱にしてしまっているのではないかと感じます.
 暑さや寒さに対する抵抗力だけではありません,今や日本人の3人に1人を蝕んでいるといわれる糖尿病や高血圧などの生活習慣病も,同じことでしょう.
 
 交通機関や便利な家電がそれほど発達しておらず,歩行をはじめとした身体活動が日常生活の中でなかば強制的に組み込まれていた時代は,特別な運動をしていなくても運動不足になることはなどはまずなかった.スポーツジムなどほとんどなかったし,そもそもその必要性もなかったでしょう.
 さらに時代を遡って江戸時代のように交通機関といえば馬くらいしかなかった時代,江戸から大阪まで毎日30km以上も歩いていくことなど,今では考えられないでしょうが,それが人々の足腰を自然に鍛えたわけです.

 そして食生活も質素で,ステーキや寿司など御馳走中の御馳走だった時代には,栄養失調になることはあっても今のように過食ででエネルギー過多になることもなかったわけです.

 我々は,昔の人々が見たら仰天するほど豊かな文明社会を築き上げました.しかしこの文明がもたらした便利さ,豊かさにすっかり慣れ切ってしまった我々が,暑さや寒さにすっかり弱くなり,生活習慣病をはじめとしたさまざまな疾病に苦しんでいるといのは,皮肉というより,ある意味必然かもしれません.

 血圧を下げるため,コレステロールや血糖値を下げるため,痩せるために運動しなさい,歩きなさい,油っこいものや肉類は控えましょう,などと一生懸命連呼しても,悲しいかな,便利なもの,美味しいもの,楽しいもの…身の回りはありとあらゆる誘惑に満ち溢れています.なのにその誘惑に負けないで粗食や運動にいそしむというのは,ある意味非常に過酷なことでしょう.人間ついつい易きに流れるもの,よほどの信念がないとできないのです.

 今回の節電にしても,昔の人々が現代にタイムスリップしてきたら,難なく適応できるかもしれません,でも豊かさと便利さにすっかり毒されてしまった,か弱き現代人には,大変な努力を要することなのです.

 そう考えてくると,現代文明が真の意味で人類に幸福をもたらしているのかどうか,正直わからなくなってしまいます.文明は人類を進化させるどころか,実は退化させているのではないかとさえ思います.
 
 そうはいっても,ひと一倍暑がりの私,今日も暑さに耐えきれず,節電なんかどこ吹く風…,缶ビール片手にまたエアコンのスイッチに手がのびてしまう…,とてもじゃないけど偉そうなことは言えませんね(笑)
. プロフィール

Dr.Ohkado

Author:Dr.Ohkado
神戸市中央区新神戸駅ちかく,神戸芸術センタービル内医療モールにある循環器科を主とする開業医です。
徒然なるままに,日々考えていることをエッセイとして書き綴っていきます.
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