Dr.OHKADO's Blog

. 痛い目にあわなきゃ解らない?

8月ももうすぐ終わり,朝晩少しずつ過ごしやすくなりました.

 さて,世間はいまや,本格的な流行を迎えてついに国内で死者まで出た新型インフルエンザと,政権交代をかけた今月末の衆議院総選挙の話題で持ちきりです.
 新型インフルエンザのワクチンはどう頑張っても年内の国内生産量は1500万人分程度にとどまる見通しで,不足分は輸入に頼らざるを得ないとのこと,しかしその是非,方法や臨床試験の必要性を巡り,いまだ全くコンセンサスが得られていないという有様です.

 選挙の方はどうかと言えば,各政党がマニフェストとやらを作って盛んに政策をアピールしているのはいいものの,ややもすると他党の中傷合戦ばかり.野に下ることが確実と言われている自民党は危機感を募らせ,「責任政党」という標語を掲げて頼もしげな?政策を綺羅星のごとく盛り込んでいますが,国民に言わせれば,“じゃあ何故今までの長きにわたる自民党政権の間にそれが実行できなかったのか?今までは「責任」がなかったのか?選挙のたびに美辞麗句を並べられても結局当選してしまえば「政治屋」になり下がり,国民を裏切ってきた結末が今回の危機を招いたのではないのか?”と言ったところでしょう.私は別に民主党を支持しているわけではありませんが,自民党もいい加減に一度は痛い目に合って眼を醒ました方がいいと感じています.でもそんな政党を選んで来た我々国民も大いに反省すべきなのは当然でしょう.

 インフルエンザの件にしても,今年の後半に再流行することは誰しもわかっていたはずですし,そうでなくとも強毒性の鳥インフルエンザがいつ流行してもおかしくないという可能性もあるわけです.にも関わらず今頃いったい何を議論しているのか?と言いたくなります.もちろんワクチンを簡単に増産できないような種々の事情はあるにせよ,やはり対策が後手後手になっていると言われても仕方ないのかもしれません.
 地震などの災害や大きな事故にしても,いつも思うのはあとでああすればよかった,こうすればよかったとその時になって初めて問題提起がなされることです.

 病気の予防についても同じようなことがいえます.高血圧を放っておいたら脳梗塞や心筋梗塞になる,糖尿病を放っておいたら眼が見えなくなったり足が腐ったり悲惨なことになる,煙草を吸いすぎたら肺気腫で寝たきりになる,といわれても,みな結局最初は他人事にしか思えない,そして本当に自分がそうなってみて初めて後悔することになる,私はそんな例をいやというほど見てきました.

 人間というものは結局そんなものなのでしょうか?広島,長崎に原爆が投下されて数十万の人命が一瞬のうちに失われた事実があっても,未だに地球上から核兵器がなくならない,あってはならないことですが結局もう一度核兵器が使われないと,人類はその恐ろしさ,悲惨さを解らないのでしょうか?

 痛い目に会わないと解らない,いや,会っても解らない,悲しい人間の性を感じてしまいます.
 でもそんな人間であっても,その叡智により今の日本の危機,世界の危機はきっと乗り越えて行けるものと信じ続けたいとは思います.
 
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. 健康は富に勝る

今年のお盆休みもあっという間に終わってしまいました.たった数日の休みでしたが,家族ともども久しぶりにゆっくり過ごせました.

お盆の最後の日の朝は合気道の稽古に行きましたが,1週間前の稽古が休みで,またお盆期間は実家に帰ったりしてダラダラしていたせいでしょうか,急に激しく動いたせいもあってか,途中で少し気分が悪くなってしまいました.幸い少し休んだだけでその後の体調には問題ありませんでしたが,何か自分が少し情けなくなりました.

 開業してからは特に健康に気を遣うようになりました.勤務医時代と違い,自分の代わりはいません.最悪の場合は神戸労災病院などの親しい先生に代診を頼むこともできなくはありませんが,患者さんの信用問題にもつながりますので,勤務医時代と勝手が違ってそうたやすく代われるものではありません.

 前にも書きましたが,中高時代は六甲学院の険しい通学路や毎日の中間体操,36kmマラソンなどで日常的に鍛えらえれましたし,大学時代は剣道部でしごかれました.仕事に就いてからはレジャーでスキーやへたくそなテニスをする以外には定期的な運動とは遠ざかっていましたが,40の声を聞きだしてから何か一生出来るスポーツをと思い合気道を始め,これにはすっかりとりこになってしまい今も続けています.さらに四十路も半ばを越えて体力の低下を意識しだしてからは,心肺機能を高める手段を日常生活に自然に取り入れるべく,病院で履く靴を,片足の重さが1.5Kgもあるマッスルトレーナーというトレーニング用のスニーカーとし,7階の医局,4階の病棟,2階の外来と,病院の中では可能な限りエレベーターを使わずに走り回っていました.

 しかし開業してからは,マッスルトレーナーは相変わらず愛用していますが,何といっても1日の移動範囲が往診などで出かける以外はほとんどクリニックの中だけになってしまい,はっきり言って運動不足です.幸い私は運動不足でも太る体質ではなく,コレステロールや中性脂肪も全く問題ありませし,ヒンズースクワット100回ぐらいならば今でも難なくできます.しかし,やはり持久力などは衰えていると認めざるを得ず,はからずも先日の合気道の稽古でそれが露呈されてしまいました.これでは患者さんにも偉そうなことは言えません.

 世界最長寿国とはいえ病気や事故で寝たきりになってしまっている人も激増しているのを見るにつけ,健康は富に勝るとはまさに金言だと感じています.

 クリニックの経営者として,家族の長として今後寄る年波に抗いつつ?頑張っていかねばなりません.今は合気道に続くスポーツにも手を染めるべく,クリニックの下の階にあるスポーツジムをのぞいてみようかな?などと本気で考えを巡らせているところです(笑)

 話変わって,私のいる道場にはペルー出身のC君も稽古をしており,先日日本に住むスペイン系民族のために発行している雑誌社の人が取材に来て,彼を中心として写真を撮りました.私も掲載していただきましたので載せます(前列右から2番目が私,その左がC君,真中が師匠のK先生です).
aikidou

. インパクト恐るべし

 もうすぐお盆,夏真っ盛りです.私は個人的には,冬のキリッとした寒さは平気なのですが,夏の蒸し暑さにはめっぽう弱くて,身体があまりにだるいと肝炎にでもなったのではないかと,思わず血液検査をしてしまうほどです.それでもその暑い中をクリニックにまで足を運んでくださる患者さんたちには,感謝の極みです.

 昨日はかみさんの父母,二人の弟夫婦とうちの家族4人が久しぶりに全員集まって三宮で会食をしました.私の父母に負けず劣らず義父母もまだお元気で,こうしてまた全員が今年も集まれたことをうれしく思いました.
 さて,先日の外来での一コマです.高血圧で治療をしている高齢の女性ですが,なかなか思うように治療が進みません.なぜって…?
「先生,私の血圧,これ,低すぎるんとちゃいますか?」
「そんなことはないと思いますよ.血圧というのはふらふらしたりする症状が全然なければ,低いことは全く問題ありませんよ.」
「でも先生,特に私の場合は下の血圧が低すぎるって言われたんですヮ」
(えっ,この患者さん,他にも医者にかかっていたかなあ…?)と思いながら,
「そんなこと,いったい誰にいわれたんですか?」
「私の店にたくさんお客さんが来ますやろ,みんな私と同じ血圧で薬飲んどるみたいでね,その人らに言われたんですヮ」
大方予想はしていましたが,(やっぱりそんなことかいな,やれやれ…)と,という感じでした.

 今や空前の健康ブーム,テレビしかり,雑誌しかり,インターネットしかり…巷には医療に関するあらゆる情報が飛び交っています.
 でも特にあまりパソコンを使いそうもない,中高年のおばちゃんたち(もちろん例外もありますが…)は,何よりも仲間同士の噂話が情報源です.スーパーの安売り情報,芸能界の話,薬や健康器具の話,そしてクリニックの評判さえも,…あっという間に拡がるわけです.
 それはそれでいいのですが,こと医療に関しては,本当に誤った情報が多いと感じています.でも,それは彼女たちの責任というよりも,元をたどればそれを発信しているマスコミにこそ原因があると強く感じざるを得ません.
 マスコミはきちんとした情報を発しているつもりかもしれませんが,それが視聴者のレベルに降りてくると,とにかくインパクトの強い情報だけが一人歩きをしているという感じです.血圧の話しにしても,低いとか高いとか言っても,何を基準にして言っているのか,どのように悪いのか,そこのところは完全にそぎ落とされてしまっているというわけです.

 私はよく下肢静脈瘤の患者さんを診療しますが,ひところ,受診する患者さんが口をそろえて「静脈瘤を放っておくと肺や脳に血栓が跳んで大変なことになると聞いたので来ました.」という時期がありましたし,今でも時々おられます.
 あまりにみな同じようなことを言うので調べたところ,どうやら「ほんとは怖い家庭の医学」という民放の番組がその情報の出所でした.下肢静脈瘤で血栓ができること自体は珍しくはありませんが,それが肺に流れていき,しかも生命を脅かす事態になるようなことは,あっても数千人に一人以下という極めてまれな出来事です.ましてや脳に跳ぶことなどは,心房中隔欠損症のような心臓の病気がなければ解剖学的にはまずあり得ません.そのような極めてまれなことを,さもしょっちゅう起こるかのように騒ぎたて,いたずらに不安をあおろうとするこの番組に私は怒りさえ抱きました.この手の番組はあの有名な○のもんたがやっていた主婦向けの昼の帯番組など,他にもいくつかありましたが,共通しているのはとにかくインパクトを与えることばかりに腐心しているようにみえることです.

 マスコミ側が,自分たちが流した情報を視聴者がどう解釈するかまでには責任はないと考えているのならば,それは恐ろしいことだと思います.
 われわれ医療従事者が有している医療の知識や技術は,何年もの勉強と現場での経験で得たものです.しかしそういったベースが全くない一般の方々が,テレビや雑誌を見ただけで同じように理解するのはどだい無理な話であり,インパクトの高い情報ばかりに目が行くのはある程度やむをえないかも入れません.しかしだからこそ,マスコミは,ただインパクトに走るだけではない,正確で客観的な情報を淡々と発信する義務があるのではないかと思っています.
. プロフィール

Dr.Ohkado

Author:Dr.Ohkado
神戸市中央区新神戸駅ちかく,神戸芸術センタービル内医療モールにある循環器科を主とする開業医です。
徒然なるままに,日々考えていることをエッセイとして書き綴っていきます.
ご意見下さい.

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